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なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴

なぜ選ぶたびに後悔するのか―「選択の自由」の落とし穴

以前、日経サイエンスの記事を読んで、なかなか興味深かったので買ってみた。内容は書名に集約されている。社会が豊かになり、選択肢が非常に多くなった上に、それを自分で自分のやりたいように選ぶことができる。これは一見心も豊かにしてくれそうであるが、実際に主観的幸福感などを指標にしてみると、そのような単純な関係になっていない。これはどういうことなのか?という問いのもと、その間のプロセスとして意思決定における心理的プロセスや選択における感情的反応(後悔)、「マキシマイザー」、「サティスファイサー」といった個人差をからめて説明がなされている。とてもわかりやすくて面白かった。例としてして挙げられていることが、普段の自分にも良く当てはまる。買い物という状況では、自分は断然マキシマイザーだと思う。しょうもないと思いつつ、迷うことがやめられない。ただ、最近服を買うときは同じような色のものしか買わなくなったが、その色が好きという以外に、選択肢を狭めることで主観的な幸福感を減じたり、後悔しないように対処しているとも考えられる。確かにそう決めてしまうと買い物が非常に楽だ。まあ、もっと単純に服に対するこだわりが無くなって(年のせい?)、迷ったりするのがめんどくさくなっただけかもしれないが…。
一点読んでいて困ったことが、文献の情報が書籍以外(書籍も書名と著者名だけだが)何も示されていないことだ。個人的に興味深い研究結果が紹介されていたので、ぜひ元の論文にあたってみたいのだが、どうやって探したものか。紹介されている研究結果がすべて著者自身によるものであれば調べようもあるけど、そうでなかったらかなり難儀である。原書でも文献は示されていないのだろうか?この間紀伊国屋に行ったら原書が平積みしてあったので、見てみればよかったな。